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うんちは何を語る?

第二の脳といわれる腸と人の体のかかわりについて、興味本位に書きつづります。

寄生虫ダイエット?!

寄生虫キャラクターたち

 

寄生虫なんて聞くと、どんなイメージをもちますか?

大抵は、汚い・気持ち悪い・怖いって感じではないでしょうか。

でも、そんな寄生虫でダイエットするって話があるんです。。。汗。

 

 

そもそも「寄生」とは、ある生物が他の生物に宿り、栄養物を摂取しながら自己に有利な生活を営む現象をいい、一般的には、寄生する側を寄生生物、寄生される側を宿と呼んでいます。

つまり、宿主からちゃっかり栄養分を摂って生活しているのが寄生虫というわけです。←人間社会にも居そうな・・・苦笑。

 

寄生虫は、宿主を選びません。人間やぺット、獣、魚など、動物であれば何でも寄生します。そして、寄生虫は宿主に害を及ぼす場合があり、この感染症寄生虫症といいます。

 

寄生虫王国!?

戦後の日本は、食糧事情や衛生環境がよくなかったため、寄生率が国民の70~80%もあり、寄生虫大国 日本」とまでいわれていたそうです。

その後、生活環境が整うにつれ寄生率は低下し、現在では1%以下にまで激減しています。

寄生率が下がった大きな要因は、生野菜を介して感染していた寄生虫症が減ったためです。

かつては、農作物の肥料として人糞が使われていました。つまり、生野菜を食べれば、食べた人の体内に寄生虫が入り込む、そしてその人の便が肥料として使われ・・・という悪循環があったわけです。

ところが、化学肥料が普及し上下水道をはじめとする様々な衛生環境が整備されたことで、寄生率は大幅に下がりました。

 

当時の日本には「寄生虫予防法」という法律があり、国を挙げて集団検便や集団駆除などを普及させて、公衆衛生の改善を図っていたんですね。ちなみにこの法律自体は平成6年に廃止されています。

 

サナダムシダイエットとは?

サナダムシとは、紐のような形体の寄生虫です。

その体節の並び方が真田紐(さなだひも)に似ているので、この名がついたそうです。ちなみに、真田紐とは、ことし大河ドラマで話題になっている長野県上田市真田町に由来し、主に木綿で織った幅の狭い縞模様のある平織りや袋織りの平らな紐です。

 

真田紐

 

以前わたしも訪れたことがありますが、目黒区にある寄生虫館(なんでも世界で唯一の寄生虫専門博物館だそうです!)には、かつて人体から検出された全長8.8mのサナダムシの標本が展示されています。まさに「紐のような形体」ですね。

さらに、これまで人間が排出したサナダムシの内最大のものは39mの長さに育っていたというから驚きです!

そんなに長いものがお腹の中に寄生したなんて、ちょっと信じられません。

 

すでに先進諸国では、サナダムシは限りなく絶滅に近い状況ですが、ブタやウシの筋肉内やサケ・マスの身に中間寄生しているため、生焼けの肉や刺身を食べることで、稀に人に寄生することがあり、現在でも細々と生存しています(逆に言うと、しっかりと火を通す、あるいは冷凍することで感染は防げます)。

 

さて、表題のダイエットについてですが、かつて寄生虫を飼っていれば、食べたものを掠め取ってくれるので痩せるはずだ」と信じられていたそうです。

ビクトリア朝時代、スタイルを気にする女性たちのために、サナダムシ・タブレットが売り出されたという事実があることからも、かなり真剣な話だったと想像できます。

その発想の背景には、「貧しい人は痩せている。貧しい人は寄生虫がいるからだ」という、解るようでよく解らない理屈です。笑。

 

サナダムシ・ダイエットは、1900年頃に巷で流行ったらしく、かの有名なオペラ歌手マリア・カラスも実践し成功したと言われていますが、この話は眉唾かもしれません。

確かにマリア・カラスはダイエットに成功したのですが、彼女が痩せ始めたのはサナダムシを虫下しした後だった、という当時の夫の証言があるからです。

 

ここで、このダイエット方法を冷静に考えてみると、そもそも「サナダムシが栄養を横取りするから痩せる」という理屈は疑問です。

たとえば、10mクラスのサナダムシだとしても、消費するエネルギーは主節を増やしたり、産卵するのに使うくらいなのでさほど必要ではないと予想できます。

なので、宿主が横取りされる栄養分は高が知れている量(カロリー)でしょう。

 

自ら人体実験したジャーナリストがいた!

2014年2月にイギリスBBCの番組で、ジャーナリストで医師でもあるマイケル・モズリー氏が、自らサナダムシを体内に飲み込む実験を行なったそうです。

氏はケニアでサナダムシの卵を入手し、自ら飲み込みました。

そして、その6週間後、彼はiPadと連携して体内の様子を確認できるカプセル型のカメラを飲み込み、体内のサナダムシを観察したそうです。

さまざまな記録が取れたようですが、結局モズリー氏が出した結論は、サナダムシは宿主の摂取した炭水化物を栄養に生き延びるものの、必要とするカロリーは少なく、それによるダイエット効果はないというもの。

宿主の体重が減少するとすれば、寄生虫症による嘔吐や下痢によるものだと考えられるとのことでした。

彼はその後、虫下しを飲み、特に後遺症はなかったそうです。

医師が行う実験とはいえ、かなり勇気がいる行為ですよね。

 

サナダムシ・ダイエットについては、その他の考察もいくつかあります。

寄生虫感染が起きると、体内の免疫系ではサイトカインと呼ばれる物質(免疫細胞の間で情報伝達を担うタンパク質の総称)の分泌が高まり、これが脳に働きかけることで食欲低下を起こすそうです。

そうすると、たとえ嘔吐や下痢が起こらなくても、結果として痩せることになるんですね。

 まあ、本当に痩せるとしても、健康的な痩せ方とは程遠い印象です。

 

実際、サナダムシ成虫の寄生は比較的無害で、仮に長さ数メートルのサナダムシを宿しても、ほとんど自覚症状を起こさず(ときには下痢や腹痛を起こすらしいですが・・・)、うんちと一緒に千切れた虫体が排出されて、初めて寄生に気づくことも珍しくないといいます。

また、サナダムシの寄生がアレルギー症状の軽減に繋がるという説(後述)があったり、韓国あたりでは現在でも、サナダムシを寄生させてダイエットするという考え方があり、いまでも自ら好んで寄生させている人が結構いるようですが、異物が腸内に入り込むことで、腸内細菌フローラがどうなるか、どんな物質が分泌されるようになるのか等の影響が分からない限り、自ら寄生させることは避けた方がよいと思うのですが・・・。

 

寄生虫を科学する?!

サナダムシをはじめとする寄生虫は、今のところ人間にとって害ばかりで、なんの役にも立たないようですが、実は最近、寄生虫の分泌する物質が花粉症やアトピーの特効薬になるかもしれないという説があるようです。

どういうことかというと、寄生虫は、寄生した人の免疫によって駆除されないために、ある物質を分泌し免疫細胞を混乱させています。

花粉症の場合は花粉が、アトピーの場合は本来は異物ではない自分自身の細胞が、自らの免疫によって攻撃され引き起こされる病気です。

そこで、この寄生虫の分泌する物質を使い、免疫細胞を混乱させて攻撃を受けなくする、という治療法が研究されているそうです。

こういった現在進行中の研究の結果如何では、嫌われ者の寄生虫が人間にとってヒーローに変身する日がくるかもしれません.。。。

 

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