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うんちは何を語る?

第二の脳といわれる腸と人の体のかかわりについて、興味本位に書きつづります。

腸の働きと消化のしくみ

理科室にある消化管模型

うんちやおしっこなど、生き物が排泄する元は、言うまでもなく食べた物を消化することです。
消化とは、飲食した物から栄養分を摂取することですが、これをちょっと小難しく説明すると、食べた物の成分中にあるタンパク質や脂質、糖質などを、膵臓でつくられた酵素を用いて分解し、アミノ酸や脂肪酸、グルコースなど、生きる糧となる物質を生成・吸収する過程ということになります。

それでは、なぜ生き物は、このような複雑なことを行うのでしょうか。

 

肉を食べたら、それがそのまま筋肉になれば、わざわざ消化しなくてもよいのでは?

などと、至極単純な疑問について調べてみると、

① 細胞の再構築

② 吸収を容易にする

③ 効率のよいエネルギー源に変える

④アレルゲン性を低下させる

という、消化についての4つの目的が見つかりました。


生物が体内で新しい細胞を構築する場合、細胞の構成成分は動物ごとに異なるため、1度はタンパク質や脂質、糖質を最小単位にまで分解し、それを使って自分自身に適合する細胞をつくります。

たとえば、人間の筋肉を構成しているタンパク質は、ウシやブタの筋肉のタンパク質とは、似てはいるものの完全に同じではありません。

なので、すき焼きやステーキで牛肉を、あるいは豚肉をトンカツとして食べても、人の体内にあるさまざまな器官をつくるタンパク質源として使う場合には、いったんアミノ酸レべルまでバラバラに分解してから、新たに人型のタンパク質を構成し直す必要があるのです。

このことは、糖質や脂質のほかの栄養素にもいえることで、人の体内にある状態に構成し直したり、微調整する必要があります。

 

また、食事として摂取したタンパク質や脂質、糖質などは、そのままでは消化管から吸収して内部に入れるだけの十分なスペースがないため、消化作業で低分子化して初めてカラダの中に入れるように、つまり吸収されるようになります。


さらに、摂取した栄養素をエネルギー源として考えてみると、糖質や脂質はかなりの部分がエネルギーとして燃焼されます。
ただしこの場合も、糖や脂肪がそのまま燃えるわけではなく、消化によって分解されたグルコースや脂肪酸がアセチルなどに変化した上でエネルギーが作り出されます。


近年とくに問題視されている食物アレルギーは、食物中のタンパク質が直接体内に入ることで、過剰な免疫反応を引き起こされる症状です。

通常は、タンパク質を分解してアミノ酸にしてしまえば、アレルギーを起こすことはないのですが、アレルギーがある場合には、誤ってタンパク質が体内に入ってしまうと、免疫系が過剰に刺激されてしまうのです。

このように、なじみ深く、一見単純に見える消化という作用の背景には、生命を保つための複雑な腸の働きがあります。
言い方を変えると、腸はとても多機能だということです。

 

 

美味しそうにご飯を食べる女の子

消化のしくみ

食事をすると、食べたものはロの中で噛み砕かれ、唾液と混ぜ合わされます。

たとえば、ごはんやバンなど炭水化物類に含まれている糖質は、唾液に含まれるアミラーゼという酵素によって、その一部が麦芽糖に分解されます。
ご飯粒を何回も噛むと次第に甘味が増してくるのは、高分子のデンプンから低分子の糖がつくられて、それが甘いという味覚を生じさせているからです。

咀嚼された食べ物を飲み込むと、食道の蠕動運動によって運ばれて、すばやく胃に送り込まれます。
食道では消化作用は行われません。

 

食べ物が胃に入ると、蠕動運動で一分間に3~5回、12~20秒くらいの収縮が起こり、酸性の胃液と食べ物が混ぜ合わされます。
この胃液には塩酸と、酸性で働くぺプシンという酵素が含まれていて、肉や魚のタンパク質をアミノ酸に分解します。
通常、胃の消化には3~6時間ほどかかります。

一般的に、脂っこいものの方が消化時間が長い傾向があります。ちなみに、バターは消化されるまで約12時間かかるので、かなり消化が悪い食べ物なんですが、ちょっと意外ですよね。

次に、胃液と混ぜ合わされてドロドロになった食べ物は小腸へと運ばれます。

小腸は、直径約2.5cm、長さ約6mで、十二指腸、空腸、回腸の3つから成ります(空腸と回腸の間に明確な境界はありません)。

小腸の内壁は輪状のヒダになっており、その表面の数百万もの絨毛と呼ばれる突起と絨毛の表面にある微絨毛によって、表面積を増大させ、吸収能力を高めています。

小腸は分節運動といわれる「くびれたように縮む運動」を行い、消化物を腸管壁に押し付けて吸収を促しています。

また、十二指腸には、胆嚢、膵臓がつながっていて、膵液と胆汁が分泌されます。
膵液には胃液で酸性になった食べ物を十二指腸内で中和する働きがあります。

食べ物が中和されると、膵臓から分泌きれるタンパク質を分解する消化酵素トリプシンの活動に適した環境になります。
膵液にはトリプシン以外にも、糖質を分解するアミラーゼやマルターゼ、胆汁には、脂肪の吸収を助ける胆汁酸、うんちの色に関係している胆汁色素などが含まれています。

胆汁は消化酵素を持ちませんが、食べ物中の脂肪を乳化して細かい粒にする働きがあります。

その他、小腸の絨毛の付け根からも多数の消化酵素を含む腸液が分泌され、膵液で分解された糖質、タンパク質、脂肪がさらに吸収されやすくなります。

小腸では最終的に炭水化物はブドウ糖に、タンパク質はアミノ酸に、脂肪は脂肪酸とモノグリセリドに分解されます。
そしてほとんど全ての栄養分と80%の水分が、広い表面積の絨毛から吸収されます。
このような小腸での消化・吸収には4~5時間ほどかかります。

 

大腸は、小腸に続く消化管の最終の部分です。
盲腸・結腸・直腸の三つの部分に分けることができ、その形状は直径約6cm、長さ1.5~2mです。

内壁にはヒダがありますが、絨毛はありません。
小腸から盲腸に送られてきた段階で、消化物はドロドロの液状ですが、大腸壁から水分が吸収され、こうしてできた残がいに、腸内細菌やその死骸などが加って固形化され、うんちができあがります。

大腸は蠕動運動によって内容物を輸送し、大腸壁からは粘液が分泌されて、うんちによる摩擦を減らしています。

以上が消化の過程ですが、結局、食物がロから消化管を通って肛門からうんちとして排泄されるまでに、およそ24~72時間かかります。


生き物の消化管長/体長比に注目

一般に、草食動物の消化管長/体長比は大きく、肉食動物は小さいです。

魚類には肉食が多く、たとえばカマスという魚の比は1、つまり消化管長と体長が一緒です。両生類では、肉食のカエルやイモリの比が2となっています。

爬虫類では、肉食のへビやワニの比は1~2ですが、草食のリクガメは5です。
雑食の鳥類では、ニワトリが1.8、草食のハトは7となっています。

哺乳類の腸の長さと消化管長/体長比はそれぞれ、マッコウクジラで300m・16~24、ウシは51m・22~29、ラクダ42m・12、ヒツジ31m・27、ウマ30m・12、ブタ22m・15、ライオン7m・3.9、トラ5m・5、ネコ2m・3~4というデータがあります。

とくに目立つのはクジラの腸の長さです。その数値は新幹線の編成長並み!びっくりです。

この比率の違いが、食物の違いから来ていることは一目瞭然です。

草食動物の消化管長/体長比は大きく、消化しにくい繊維質(植物)を成分を消化・吸収するには長い腸で十分に時聞をかける必要があるのでしょう。

クジラに関して言えば、植物プランクトンや動物プランクトン、魚類やイカまでと、食物が多岐にわたっていることが腸の長さに関係しているのかもしれません。

人の場合は、消化管長/体長比が4.5程度です。

まさに肉食と草食の中間に位置している数値ですね。

人の腸は、その形や働きから分析すると、本来は肉食であったのが進化の過程で草食も取り入れるようになったと考えられているようです。

ちなみに、肉を食べる欧米人と穀類主体の日本人の腸長を比べると、後者のほうが腸が長いという説があるようですが、医学的に証明された説ではないようです。

もしかしたら、日本人の胴長短足という体形から言われているのかもしれませんね(苦笑)。

 

ピザを大食いする太った女性

人の腸は超巨大

テレビのバラエティ番組でよく「大食い選手権」的なものが放送されていますが、カラダの大きな人だけでなく、意外に小柄な人、それも女性がたくさん食べる姿を見ると、どこにどうやって大量の食べ物を詰め込んでいるのか不思議に思いますよね。


実は、人の胃や腸は、想像以上に大きいんです。

胃や腸に代表される消化器官は、カラダの中で占める割合が他の臓器に比べて桁違いに大きいんです。

人の胃は、何も入っていないときにはかなり小さいですが、満腹時には2~4L近くまで拡大されます。
また、小腸は長さ5~6m、大腸は約1.5mですから、小腸と大腸を合わせた腸管全体では6.5~7.5mにも達します。
物でたとえるなら、マイクロバス1台分に匹敵する長さですし、仮に小腸を広げると、その表面積はテニスコート約2面分といいいますから、かなり広いです。

やはり、口から入ってくる食物を十分に消化・吸収するには、大きな吸収面が必要なんですね。

大食いの人たちの胃は、満腹時の拡大率がより高く、さらに胃から小腸へと食べ物を送り込むペースが超速いため、尋常じゃない量の食べ物を詰め込むことができるようです。

 

ヒトの食性は超特異的

人が考える、動物のなかで最も進化した存在は人間でしょう。
現代における人の腸と食はどのようになっているのか、改めて消化器の形と働きを見てみると、人間の胃や小腸、大腸は他の動物と比較して、盲腸が極めて小さいことを除けば、哺乳類の他の肉食系動物の形に近いそうです。

そうは言っても、現実には人間は雑食・・・いや、超雑食です。
超雑食であるがゆえに、人間は他のいかなる動物よりも貪欲に、肉類であれ植物類であれ、食べられるものは何でも食べてきた歴史があります。

つまり、この貪欲さゆえに、地球がさまざまな環境変化をおこしても、食べるものに困ることなく生きつづけてきたのです。

人は普段、自身の超雑食性を特別意識することはありませんが、ウシやウマは草ばかり、ライオンは肉ばかりを食べていることを思い起こせば、何でも食べるヒトの食性の特異性を理解できるでしょう。

それでは、このような超雑食は、なぜ可能になったのでしょう。

最大の理由は、まさに人間が作り上げた文明によるものです。

生物として進化するプロセスにおいて、手を自由に使う能力を獲得したことで、火の利用が可能になりました。
火を使うこと、つまり煮たり焼いたりできることで、そのままでは消化しにくいさまざまな草食系食品(野菜類)が食べられるようになったのです。

また同時に、火を通すことで食料の保存期間を大幅に延ばすことが可能になり、そのことが食が絶える危険性を大幅に減少させたと考えられます。

さらに、人の腸には有益な細菌群が多数、共生していることも、超雑食が可能となった理由の一つと考えられます。
事実、有益な腸内細菌は、そのままでは消化・吸収できない繊維質を分解し、エネルギー源としてくれています。

人間の腸内細菌の特異性や優位性は、いまだ未解明の部分も多いですが、最近では各種メディアで腸内環境や腸内細菌が特集されるようになったことからも分かるように、この分野の研究は急速に進展していますので、日進月歩で解明が進むと思います。